ゲットー出身から見事な成り上がりを果たし、HIPHOPドリームを体現するラッパーANARCHY。
ANARCHYから放たれる圧倒的な存在感・カリスマ性に多くの人が魅了され、彼に憧れを抱くラッパーも少なくありません。
現在日本のHIPHOPシーンの中心に鎮座し、牽引し続けるその姿は業界内外から高い評価を得ています。
また近年は、若手のフックアップに力を入れるほか、映画監督・俳優にも挑戦しており、活躍の幅が広がっているのも印象的です。
そんな順調満帆に思えるANARCHYにも壮絶な過去がありました。この記事を読めばANARCHYのラップを今まで以上に楽しく聞けること間違いなしです。
「ANARCHYはゲットーからHIPHOPドリームを実現し、同じ境遇の若者に夢を与えた。」
ラッパーANARCHYのプロフィール

アーティスト名 | ANARCHY |
本名 | 北岡 健太 |
年齢 | 42歳(1981年9月2日生まれ) |
身長 | 推定170cm |
出身地 | 京都府京都市伏見区(生まれは大阪府) |
拠点(レペゼン) | – |
学歴 | 中卒 |
所属レーベル | THE NEVER SURRENDERS |
ANARCHYのラップスタイル
ゲットー出身で自らの壮絶な生い立ちを赤裸々に綴ったリリックをブルース調でラップするのがANARCHYのスタイルです。
いわゆるアメリカHIPHOPを日本で体現したラッパーの1人で、ハードな環境という逆境に立ち向かうありのままの姿を投影しています。
また、近年はラブソングやパーティーチューンなど初期には見せなかった楽曲も増えており、音楽性の幅を広げています。
ANARCHYの名前の由来
ANARCHYは名前の由来を明らかにしていません。
英語でANARCHYは「無秩序・無法地帯」という意味を持つため、自身の生い立ちに通じるものを感じて決めたのかもしれません。
また、AK-69など親しい間柄のラッパーからは、本名の「健太(けんた)」と呼ばれています。
ゲットーから始まるANARCHYの人生

・大阪府で生まれ3歳の時に京都の向島に引っ越す。
・7歳の時に両親が離婚し父親に引き取られる。
・中学時代にバスケットボール部に入部しキャプテンを務める。
・13歳の時にHIPHOPに出会いラップを始める。
・高校に進学せずにラップ・アルバイトに励む。
・16歳の時に友人がボコボコにされたことをきっかけに暴走族に入り総長になる。
・18歳の時に決闘罪で逮捕され少年院で1年過ごす。
・少年院出所後に暴走族を引退しラッパー活動に本腰を入れる。
・2003年に自主制作EP「Ghetto Day’z」を発表しRYUZOと合流。
・2005年に1stシングル「Ghetto King」、2006年に1stアルバム「ROB THE WORLD」をリリース。
・2014年にメジャー(avex)に移籍し、1stアルバム「NEW YANKEE」をリリース。
・2019年の3rdアルバム「The KING」を持ってavexの契約を終了。
・2018年・2022年にラッパーのリッキーとビーフ(その後和解)。
・2018年に自主レーベル「ONEPERCENT」を立ち上げWILYWNKAを迎える。
・2019年に初映画監督を務めた「WALKING MAN」が公開。
・Season 1から2020までラップスタア誕生の審査員を務める。
ゲットーで生まれ貧しい生活を過ごした少年時代
大阪で生まれたANARCHYは、3歳の時に京都府向島の市営団地に引っ越し、ここを拠点に育ちました。
市営団地は通称向島ニュータウンと呼ばれており、低所得者・暴力団関係者・在日外国人などが多く、日常的に喧嘩や事件が起こる治安が悪い場所として知られています。
さらに、ANARCHYが7歳の時に両親が離婚し、父親に引き取られますが、生活は厳しくインスタントラーメンばかり食べていたそうです。
中学生では授業にはほとんど出席せずに、SLAM DUNKの影響で入ったバスケットボールと2年で出会ったHIPHOP・ラップに夢中になっていました。
3年の時には自分で開いたイベントでラッパー・RYUZOらがマイクを握り、300人近くを集めるなど、才能の片鱗を見せています。
暴走族の総長になり逮捕された10代後半
中学卒業後のANARCHYは進学をせずにラップ・アルバイトに励む生活を送ります。
しかし、16歳の時に地元で行われた祭りで、友人が暴走族にボコボコにされながら、何も出来なかった自分が悔しくて暴走族に入ることを決意。
最終的には総長まで登り詰め勢力を広げていきますが、18歳の時に日本で3例目の「決闘罪」によって逮捕されます。
その結果、1年間を少年院で過ごすことになるものの、テレビ番組で観たZEEBRAをきっかけにHIPHOP・ラッパーへの情熱が再燃しました。
過去を振り返った時にANARCHYは、この時に逮捕されて良かったと語っています。
少年院から出所を機に本格的にラッパーへ
19歳で少年院を出たANARCHYは、本格的にラッパーの道に進みます。
2000年にDJ AKIOらと共にHIPHOPクルー「サムライ(現RAFF NECK)」を結成し、2003年には自主制作EP「Ghetto Day’z」を発表。
このEPは即完すると同時に高い評価を得てシーンから注目を集めると、RYUZOから誘われる形で、レーベル「R-RATED RECORDS」との契約を果たします。
そして、2005年に1stシングル「Ghetto King」、2006年に1stアルバム「ROB THE WORLD」を立て続けにリリース。
アルバムは複数の媒体で年間ベストアルバムに選出されたほか、雑誌でも表紙を飾るなどANARCHYはラッパーとしての人気・地位を確かなものしてきました。
avexに移籍しメジャーデビュー
日本のHIPHOPシーンの中心にいたANARCHYの勢いは止まることなく、2014年にavexへ移籍し1stアルバム「NEW YANKEE」でメジャーデビュー。
3rdアルバム「The KING」は業界の常識を覆す1.3万円と高額な価格設定で発売し、反響を与えました。
さらに、2017年から2020年までラップスタア誕生の審査員、2018年に自主レーベル「ONEPERCENT」の立ち上げを行い若手のフックアップにも力を入れます。
また、2019年に初映画監督を務めた「WALKING MAN」が公開されるなど、近年は活躍の幅が広げています。
ANARCHYの人気曲は?
ANARCHYの人気曲と、pucho henza編集部の一押し曲を紹介していきます。
ANARCHYの人気曲①「Fate」
現在シーンで活躍する多くのラッパーに、希望を与えHIPHOPの道へ導いた説明不要のクラッシック。
ANARCHYの生い立ちがリアルに綴られたリリックが胸に突き刺さるでしょう。
ANARCHYの人気曲②「GROWTH」
自身でもラッパーANARCHYが誕生したと語った原点とも言える曲が「GROWTH」。
13年前に発表された曲ですが、今も色褪せることなくリスナーの心を掴んでいます。
ANARCHYの人気曲③「奇跡」
RISE・TheBONEZで活動しているJESSEがトラックを担当し、ギター1本のバンドサウンドがANARCHYの良さを引き立てています。
ストリートで撮影された2人が横並びで映るMVも要チェックです。
編集部おすすめ曲「Ski Beatz, Anarchy, Rino Latina II, 漢 & Maccho – 24 Bars To Kill」
ANARCHYが尊敬を公言するMACHHOの他、先輩ラッパーと共演して作られました。
個性的な4人の異なる良さが光ったリアルなHIPHOPを感じられるかっこいい曲なので、是非聞いてみて下さい。
ANARCHYと仲のいいラッパー
ANARCHYと仲の良い2人のラッパーを紹介します。
RYUZO

ANARCHYが中学生の頃に出会い、全国的に売れるラッパーまでプロデュースしたのがRYUZOです。
レーベルを立ち上げたRYUZOのライブに帯同しながら、ライブでスキルを磨き、関係者との繋がりを築いていました。
現在は別々の道を歩んでいますが、ANARCHYがボスと呼ぶほど慕っており、2人はラップスタア誕生で共演するなど、今も深い絆が伺えます。
DJ AKIO

中学生の同級生であるDJ AKIOとは、この世界に入る前からの付き合いで苦楽を共にした30年来の親友です。
若い時にやんちゃをしていたANARCHYにラッパーを勧めたのもDJ AKIOで、楽曲LOYALTY 2021では「AKIOに言われたコレで食わないか」というリリックも綴られています。
現在もHIPHOPクルー・RUFF NECKのメンバーとして共に過ごしており、ANARCHYにとって欠かせない人物と言えるでしょう。
気になるANARCHYのアレコレ

気になるANARCHYのアレコレについて紹介します。
ANARCHYのファッション
活動初期は、ストリートを感じさせる王道のB-boyスタイルが特徴的で、近年はスタイリッシュな傾向にあるのが、ANARCHYのファッションです。
ブランドはSupremeやBILLY’S、SUNNY C SIDERなどを着用している姿が見受けられます。
また、ベースボールキャップとスニーカー好きとしても有名で、VANSとジョーダン(Nike)で生活していると語るほど2ブランドを愛用しています。
ANARCHYのタトゥーは?
ラッパーの中でもANARCHYはタトゥーが多く、首元から足先まで全身にびっしりと彫られています。
その中のいくつかを紹介しましょう。
・首後ろ:フリーメイソンの目のマーク、ONEPERCENTの文字、星など
・首横:NBAのニックスをモチーフにしたANARCHYの文字など
・胸元:鷲
・両手の指:RUFF NECKの文字
・両手の甲:手錠
・身体:チェインギャングの歌詞など
これらは彫師のDEEやラッパーのKOHH、父親などによって、彫られています。
ANARCHYのこれからの野望とは?

自分の中で目標を決めてこなかったANARCHYは、「ANARCHYがANARCHYでいること」を一番大切に考えているそうです。
職業もラッパーではなく”ANARCHY”と語っており、ラップよりも難しいANARCHYを魅せることに誇りを持って活動しています。
売れる前から現在まで変わらないスタンスを貫く姿勢が、多くのリスナーから愛されている証拠ですね。
ラッパーANARCHYまとめ
「ANARCHYはゲットーからHIPHOPドリームを実現し、同じ境遇の若者に夢を与えた。」
ANARCHYはゲットー出身や過酷で貧しい生活という自身の生い立ちをラップに昇華し、HIPHOPドリームを体現しています。
その姿は、同じ境遇にいる若者や荒くれ者たちに大きな夢と希望を与え、現在では目指すべきラッパー象に挙げられることも珍しくありません。
BADHOPをはじめ、今活躍している多くのラッパーが尊敬を示しており、シーンに多大なる貢献をしていると言えるでしょう。
さらなるANARCHYの活躍に今後も目が離せません!