2022年におこなわれたフリースタイルバトルの新たな祭典BATTLE SUMITT2022で優勝し、
名実ともに現役最高峰のフリースタイルMCとして知られるラッパーAuthority(オーソリティ)。
BATTLE SUMITTの優勝以降は音源の制作に集中し、2023年には人気ラッパーのeydenとフィーチャリングした新曲「MONEY MAN」もリリースされました。
一方、BTTLE SUMITT参戦以降、MCバトルへの出場はありませんでしたが、最近では2023年8月に東京ガーデンシアターで行われる凱旋MC battle Speciai2023でのバトル復帰も発表され、再び話題になっています。
このように華々しい経歴を持つように見えるAuthorityですが、その活躍の裏に、様々な苦悩や葛藤があったことを知る人は少ないのではないでしょうか。
彼の曲やバトルでのバースに込められた思いや、経歴を紐解くことでヒップホップをもっと楽しめることは間違いありません。それでは早速 Check it out!
「Authorityは〇〇という困難を、△△で乗り越えた。」
ラッパーAuthorityのプロフィール
アーティスト名 | Authority |
本名 | 非公開 |
年齢 | 26歳(1997年生まれ) |
身長 | 173㎝ |
出身地 | 青森県黒石市 |
拠点(レペゼン) | 青森県 |
学歴 | 高卒(商業高校から普通科高校へ編入) |
所属レーベル | フリー |
Authorityは1997年に青森県黒石市で生まれました。青森ではクラブの多い弘前市を拠点として活動し、19歳の時にはBAZOOKA!!! の第11回高校生RAP選手権にも出場しています。
Authorityの読み方は「オーソリティ」。2020年からは地元である青森を離れ東京で活躍を続けています。
Authorityのラップスタイル
MCバトルでのAuthorityの魅力は何と言っても即興性の高さと、喉をつぶしたような独特の濁声を使った迫力のあるパンチラインです。
特にノーマークから決勝に進出し、優勝候補の最右翼だったMU-TONとの激闘を繰り広げたULTIMATE MC BATTLE2018では、バイブスの乗ったパンチラインを連発し、その名を全国に轟かせました。
Authorityの名前の由来
Authorityは自身の名前の由来について「自分がラップを始めた当時、周りにHIPHOPをしている人はいなかった。いつか有名になった時に自分の影響でラップをする仲間が増えて欲しかった」という思いを込めて、英語で「影響力」という意味を持つAuthorityと名乗ったと語っています。
また英単語のAuthorityには「権力」という意味もあります。
1人きりで始めたフリースタイルラップから始まるAuthorityの人生
青森県黒石市に生まれる。
青森県の商業高校に入学し、高校2年生時、17歳でラップを始める。
普通科高校に編入。
高校3年生時(19歳)に第11回高校生ラップ選手権に出場(初戦敗退)。
数々のラップバトルの大会に出場し優勝を果たす。
優勝賞金1000万円などを手にする。
青森県黒石市に生まれる
Authorityは1997年に青森県黒石市で生まれます。
黒石市は青森県の中央部に位置しており、リンゴの産地としても有名です。
Authorityはこの黒石市で生まれ育ったため、地元では津軽弁を使うことも多かったようです。
商業高校を留年し、17歳でラッパーになる
Authorityは全日制の商業高校に入学しますが、商業科目の勉強が苦手で留年を経験してしまいます。
的確なアンサーを連発し、頭の良いイメージのある現在から考えると意外な経歴ですよね。
そして高校2年生の17歳でラップを始め、ラッパーとしての人生をスタートさせます。当時は周りにラップをしている友達はおらず、1人ラップをする姿を同級生に見られ、バカにされてしまった経験もあったと語っています。
それと同時期に「親に迷惑はかけられない」との思いのもと、商業高校から普通科高校に編入を決意。
単位は1から取り直さなければならず、商業高校時代と合わせて計4年間高校に通っています。
その影響で、高校3年生の19歳当時、第11回高校生ラップ選手権に出場できたというので、運命の力を感じますよね。
ULTIMET MC BATTLE2018で準優勝しラッパーとしての才能を開花
ULTIMET MC BATTLE初出場の2016年は初戦敗退。2度目の挑戦となった2017年も2回戦敗退となってしまったAuthorityですが、3度目の正直をかけた2018年で一気に脚光を浴びることになります。
R-指定も所属している梅田サイファーのKZや、優勝候補としても名高かった輪入道など並みいるラッパーを倒し、ノーマークからの決勝戦進出を果たすのです。
決勝戦では同じ東北の宮城県白河市をレぺゼンするラッパー、MU-TONに惜しくも敗れ去りますが、バトルヘッズに与えたインパクトは絶大なもので、以後、大規模MCバトル大会からのオファーが殺到するようになります。
ULTIMET MC BATTLE2019で優勝
2018年末にULTIMET MC BATTLEを準優勝した後の2019年のバトルシーンはAuthorityの年だったと言っても過言ではないでしょう。
ULTIMET MC BATTLEの勢いそのままに凱旋MC BATTLE 2019夏ノ陣で優勝すると、22歳以下のラッパー最強を決める戦極MC BATTLE U-22でも立て続けに優勝。
堂々の優勝候補筆頭として出場したULTIMET MC BATTLE2019では高校生ラップ選手権で優勝した経験もある同世代のラッパー裂固や、京都代表で後のULTIMET MC BATTLE2020で優勝することになる実力派ラッパーの早雲などを倒し、見事優勝を勝ち取ります。
前年の決勝戦でものにできなかった16小説の2本勝負を自ら選択するなど、ラッパーとしての成長も感じさせながらの優勝に、会場のバトルヘッズからは最大級の歓声が浴びせられました。
BATTLE SUMMITで優勝し、名実共に最強ラッパーに
ULTIMET MC BATTLE2019で優勝した後も、Authorityは各種大規模大会で活躍を続けます。
2020年の年始に開催され、その年のバトルシーンの主役を占うKING OF KINGS2019で日本最高峰のアンダーグランドラッパーRAWAXXX(現MOL53)との大接戦を演じた後も、MCバトルの祭典、戦極MC BATTLE第21章王者に輝く等、常にバトルシーンの先頭を走り続けるのです。
そして、2022年8月31日には日本を代表する6つのMCバトル団体から選抜されたラッパーやレゲエDeejay達の中から頂点を決めようと試みるBATTLE SUMMITにも出場。
音源を中心に活躍する人気ラッパーの釈迦坊主や、言わずと知れた日本語ラップのレジェンドZeebra、KING OF KINGS2019の決勝で敗れたMOL53を倒し、優勝賞金としては史上最高額の1000万円を獲得します。
このBATTLE SUMMIT優勝を経て、Authorityは名実共に現役日本人最強ラッパーの称号を得ることになるのです。
2022年後半からはライブや音源制作に集中
BATTLE SUMMITで優勝したAuthorityは、その後バトルへの出場を休止し、ライブや音源制作に集中し始めます。
2023年3月末に6曲入りのアルバム「In My HEAD」を発表すると、4月末にはオーディション番組「ラップスタア誕生」で優勝した実力派若手ラッパーeydenと共にMONEY MANをリリース。バイブスの高さが印象的なバトル時とはまた一味違った、テクニカルでノリ心地の良い楽曲を多く制作しています。
そんな中、8月に開催される凱旋MC battle Speciai2023への参戦が発表され、ネットを中心に大きな反響を呼んでいます。
同じくバトル復帰となった大人気ラッパーの百足や、2023年に凱旋MC Battleを2連覇し勢いに乗り、Authorityとの対戦を熱望しているyoutuber兼ラッパーのがーどまんの参戦も決定するなど、ネットではかなりの盛り上がりを見せています。
東京ガーデンシアターで「劇場型MCバトル」という新しい挑戦を試みる凱旋MC battle Speciai2023でAuthorityがどのような活躍を見せてくれるのか見ものですよね。
Authorityのベストバウトは?
Authorityのpucho henza編集部の一押しバトルを紹介していきます。
・ULTIMET MC BATTLE2017出場(2回戦敗退)
・ULTIMET MC BATTLE2018準優勝
・凱旋MC BATTLE2019夏ノ陣優勝
・戦極MC BATLLE U-22 優勝
・ULTIMET MC BATTLE2019優勝
・KING OF KINGS2019準優勝
・戦極MC BATTLE 第21章優勝
・BATTLE SUMMIT 優勝
①ULTIMET MC BATTLE2018 Authority VS MU-TON
Authorityの名を全国に轟かせるきっかけになったULTIMET MC BATTLE2018の決勝戦です。
序盤からバイブスのあるパンチラインを連発する爆発力が凄まじいAuthority。
Authority自身がバトルを純粋に楽しんでいる様子が伝わってくるのも見どころの1つです。
②ULTIMET MC BATTLE2018青森予選決勝 Authority VS 左流
これぞULTIMET MC BATTLEの地方予選といった雰囲気で、街の代表をかけた熱い対話が最高にブチ上がる1戦です。
地元ヘッズからの人気が高い左流に対し、Authorityも自身の本心をさらけ出しながら対抗。
再延長の激闘の末、ULTIMET MC BATTLE2018本選出場を勝ち取った運命の1戦です。
③SPOTLIGHT 2019 MC BATTLE 決勝3本目 Authority VS CIMA
関西のバイブスキングCIMAに対して、バイブスを込めながらもテクニカルで遊び心があるワードを連発するという、Authorityの魅力が詰まった1戦です。
特に”白黒つけに来た”から「色」に関するワードをバース中に散りばめ”落ちちゃいけない汚れはイエローに決まってんだよ”と日本人としての誇りをスピットするバースはブチ上げ間違い無しです。
Authorityの人気曲は?
Authorityの人気曲と、pucho henza編集部の一押し曲を紹介していきます。
Authorityの人気曲①「Dream in」
オートチューンを使った歌声とゆったりとしたフローが魅力的なエモい1曲です。
”正直者ほどバカ見るけどバカな奴ほどいい夢を見る”というリリックで前向きな気持ちになることができます。
Authorityの人気曲②「Thanks feat SEEDA」
AuthorityがHIPHOPを好きになった頃に憧れ、強く影響を受けたというSEEDAを客演に迎えた1曲です。
エモい雰囲気のトラックに合った優しい歌声がバトルとのギャップを感じさせ、音源ならではの魅力を感じることができます。
編集部おすすめ曲「Shake the earth」
シンプルなトラックだからこそ引き立つAuthorityの爽やかさが魅力的な1曲です。
曲はもちろん、Authorityの地元青森で撮影されたMVも完成度が高く、美しい景色に思わずチルしてしまう魅力たっぷりのおススメ曲です。
Authorityと仲のいいラッパー
Authorityはそのスキルの高さと謙虚な性格から、数多くのラッパーに認められていることでも知られています。
今回はそんなAuthorityと仲のいいラッパーを2人紹介しようと思います。
S-Kaine
2001年生まれでAuthorityより4つ年下のS-Kaineですが、年齢の壁を超え、互いのスキルを認めあうよきライバルであり、友人とのことです。
Authority自身もS-Kaineに関して”バトルに出る必要がないくらい曲がカッコいい。年下だけど尊敬できるとこがたくさんある”と語っています。
だーひー
第12回高校生ラップ選手権にも出場した宮崎レぺゼンラッパーのだーひーもAuthorityと仲の良いラッパーとして知られています。
UMB2019 THE CHOICE IS YOURS Vol.3や戦極MC BATLLE U-22の決勝戦でベストバウトを演じるなど同世代のライバルとして戦った2人はすぐに意気投合。
凱旋MCbattle東西選抜 秋ノ陣でAuthorityはは「日高組」としてチームで「だーひー」「バチスタ」と参戦しています。
気になるAuthorityのアレコレ
ここまでは誰も友達がいない中1人でラップを始め、日本一にまで上り詰めたAuthorityの経歴を、バトルを中心にして紹介してきました。
ここからはAuthorityのファッションや名前の由来など、気になるアレコレについて紹介していこうと思います。
Authorityのファッション
Authorityは洋服などのファッションアイテム好きを公言しているほどオシャレ好きなB-boyです。
こだわりのポイントは”シルエットを大事にする”ことだそうで、特に地元である青森駅前のPlatinum&Co.というスケートショップには良く通っているそうです。
Authorityという名前の読み方
Authorityはバトルに出始めのころ、アウソリティという発音で活動をしていました。
しかし、後に名前の由来となった英単語のAuthorityは本来オーソリティと発音すると知ることになります。
そして”読みが違うのに英語のMCネームを名乗るのはダメだな”と感じ、途中から発音を「オーソリティ」に変えたと語っています。
ちなみに本名に関しての公表はされていません。
Authorityのこれからの野望とは?
ULTIMET MC BATTLEやBATTLE SUMMITなど、日本を代表するMCバトルの多くを制覇し、現役最強との呼び声も高いAuthority。
Authorityの今後の野望とはなんでしょうか。本人の語った言葉から、今後の野望に関して紐解いていきましょう。
地元青森にスタジオを作り、お世話になった人たちに恩返ししたい
人生で初めてレコーディングを経験した青森のスタジオが、経営難によって営業終了してしまったことを聞いたAuthority。
そのニュースは、ちょうどBATTLE SUMMITの賞金1000万円を獲得したのと同時期にAuthorityの耳に入って来たそうです。
その時に「誰かが初めてレコーディングをするスタジオみたいなものを、自分が作れたらすごくいい」と思ったとAuthorityは語ります。
地元のHIPHOPカルチャーを盛り上げたいという気持ちが伝わってくるエピソードですね。
音源で結果を出したい
”バトルの時だけカッコ付けたようなセリフを吐く自分があまり好きでは無い”と語るAuthority。
MCバトルに力を注いできた分「いま結果を出したいのは楽曲であり、”楽曲で出した結果をバトルでも言えるぐらいになってから(バトルに)出たい」とインタビューで語っています。
そんな思いの中、約1年ぶりにバトル復帰を決意した8月の凱旋MC battle Speciai2023で、Authorityはどのように進化した姿を見せてくれるのか、今からワクワクが止まりませんね。
ラッパーAuthorityまとめ
「Authorityは地元にラップ仲間がいないという困難を、圧倒的な即興センスで乗り越えた。」
Authorityは17歳でラッパーになり、HIPHOPのカルチャーが強く根付いていなかった青森県はおろか、日本語HIPHOPのシーンすらガラリと変えるようなインパクトを引き起こします。
しかし、その活動も最初から順風満帆だったわけでなく、何年もの間大きな大会で結果を残せなかった自分と向き合った結果の才能開花であることがよくわかりましたね。
今後はバトルで培った経験や彼の人生を元にバトルだけではなく、音源制作にも力を入れていくと語るAuthority。バトルや音源でのリリックを通して、さらに深くその生きざまを語ってくれることを期待して、Authorityの活躍を応援していきましょう。