「横浜の異端児」や「ハマの4番バッター」など様々な異名を持ち、横浜を代表するラッパーの1人として知られているラッパー句潤(くーる)。
抑揚のきいたメロディアスなフローと独特の音楽センスを持つ句潤は、まさにHIPHOPシーンの中でも唯一無二の存在。バースを聞けば自然と首を振ってしまう聞き心地の良いラップが特徴のラッパーです。
2020年には舐達磨にも楽曲提供をしているGREEN ASSASSIN DOLLARが全面プロデュースするアルバム「風呼ぶカモメ」をリリースするなど、バトルだけでなく音源でも精力的に活動している句潤。
そんな天才的な音楽センスを持ち、プロップスも高い句潤ですが、その成功の裏側にある様々な苦悩や葛藤について知る人は少ないのではないでしょうか。
彼のラップに込められた思いや、経歴を紐解くことでヒップホップをもっと楽しめること間違いありません。
それでは早速 Check it out!
「 句潤は〇〇な困難を△△で乗り越えた」
ラッパー句潤のプロフィール
アーティスト名 | 句潤 |
本名 | 非公表 |
年齢 | 39歳(1984年生まれ) |
身長 | 不明 |
出身地 | 神奈川県横浜市 |
拠点(レペゼン) | 横浜 |
学歴 | 高等学校卒業 |
所属レーベル | Butcher’s Studio |
句潤は1984年に横浜市東白楽で生まれ育った生粋のハマっ子ラッパーです。
有名になったあとも横浜を拠点に活動し続けておりOZROSAURUSやサイプレス上野らと並んで横浜のHIPHOPシーンを語るうえで外すことのできないMCです。
句潤のラップスタイル
句潤の魅力は何と言っても持ち前の音楽センスを余すことなく表現する自由でメロディアスなフローです。
シンプルなビートはもちろん、他のラッパーであれば苦労するような難易度の高いビートも自由自在に乗りこなし、句潤にしか出すことができない独特の世界観でヘッズの首を振らせることができます。
また、バトルでは遊びの多い自由なノリ方をしつつも、的確なディスで相手を刺していく変幻自在なスタイルで、数多くのラッパーたちに「戦いづらい相手」と認識されているようです。
句潤の名前の由来
句潤という名前の由来について、元々あがり症である自分自身の気持ちを落ち着かせるために「クール」という名前にしたとされています。
また、発音はそのままに「言葉を潤わせたい」という願いを込めて句潤という漢字を当てたそうです。
ステージ上で飄々とパフォーマンスをする今の姿からはなかなか想像することのできなかった理由ですよね。
さんピンCANPから始まる句潤の人生
横浜市東白楽で生まれる。
兄が見ていた「さんピンCANP」の映像を見てラップに興味を持つ。
東京の高校に通うようになる。
学園祭でクラブを模した出し物をし、ラップを始める。
ヒップホップグループ「オレラ」結成。
ULTIMET MC BATTLL 2013逗子予選 優勝。
ULTIMET MC BATTLL 2015神奈川予選 優勝。
MPCバンド「MEATERS」を結成。
GADのプロデュースでアルバム「風呼ぶカモメ」をリリース。
RUFFとのジョイントEP「SEVEN DAYS」をリリース。
横浜市東白楽に生まれる
句潤は1984年に横浜市東白楽に生まれます。
東白楽は自然を感じる場所もあり、横浜市内の中でも落ち着きのある雰囲気の街です。
さんピンCANPの映像を見てHIPHOPに興味を持つ
句潤は中学生になった頃、兄が見ていた「さんピンCAMP」の映像を見てHIPHOPに興味を持ったと語っています。
さんピンCAMPとは提唱者のECDを始め、ZEEBRAやDEV LARGE、RHYMESTERなど、日本のヒップホップアーティストが日比谷野外音楽堂に集まって開催した伝説的なイベントです。
18歳の頃にラップを始める
句潤が初めてラップをしたのは東京の高校に通っていた18歳のころで、学園祭の催し物としてマイクを握ったと語っています。
高校の先輩が学園祭でしていたクラブを模した出し物を見て「自分もやってみたい」と思った句潤。
翌年に仲間たちと学園祭でクラブのような出し物をし、その時に初めて人前でラップを披露したそうです。
仲間たちと「オレラ」を結成し、名前を売るためにバトルに出る
高校を卒業した句潤は仲間たちと「オレラ」というHIPHOPグループを結成します。
そして知り合いから「曲を売るにはまずバトルに出て人に知ってもらうのがいい」とアドバイスをされて、MCバトルに出るようになったそうです。
句潤はその知り合いから今でも会うたびに「バトルに出て良かっただろ?」と声をかけられると語っています。
ULTIMET MC BATTLEに出場し知名度を高める
句潤が初めてULTIMET MC BATTLEに出場したのは2013年で、当時開催されていた逗子予選を勝ち抜いてのものでした。
しかし、本選では2回戦で千葉のラッパー輪入道に敗れてしまい、大きな活躍を魅せることはできませんでした。
しかし、その後、神奈川予選を勝ち抜き本選に出場した2015年には、変幻自在なフローを操りながらBEST8に残り、ULTIMET MC BATTLE2015のDVDトレーラーでも紹介されるなどして大きなプロップスを得ることに成功します。
その翌年もULTIMET MC BATTLE2016の神奈川予選を優勝し、2連覇を達成。
この頃から横浜を代表するラッパーの1人として、ヘッズたちに認知されるようになりました。
ちなみにULTIMET MC BATTLEの神奈川予選の連覇を達成したのは句潤が初めてでした。
(2018年、2019年でBALA a.k.a SBKNが2人目となる神奈川予選連覇を達成)
UMB2018 THE CHOICE IS YOURS Vol.2 に優勝しロレックスボーイへ
句潤のプロップスをさらに押し上げるきっかけになったのがUMB2018 THE CHOICE IS YOURS Vol.2 の優勝です。
この大会で句潤はSNAFKINやmu-ton、更には前年同大会で準優勝しているCIMAといった大物ラッパーを倒し、決勝戦でULTIMET MC BATTLE2010、2011の連覇経験もある超実力派ラッパーの晋平太を相手に白熱の激闘を演じます。延長にもつれ込んだ接戦を制したのは句潤。
熱いバイブスと韻の連打で圧倒する晋平太の攻撃を、ゆらりゆらりとかわしながらフローでいなしていく句潤の魅力がヘッズたちを魅了し、句潤のプロップスも最高潮に達します。
この大会では賞金が出ない代わりに高級腕時計のロレックスが優勝賞品となっており、句潤は前年優勝したMOL53に次いで2人目のロレックスボーイとなりました。
音源の制作などに注力し、アーティストとして活動の場を広げる
UMB2018 THE CHOICE IS YOURS Vol.2で優勝したプロップスを最大限に活かしながら、句潤は音源の制作などアーティストとしての活動にも力を入れています。
2020年には舐達磨への楽曲提供などで有名なGREEN ASSASSIN DOLLARの全面プロデュースでアルバム「風呼ぶカモメ」をリリース。
2021年には広島出身のビートメーカーであるRUFFと7曲入りのジョイントEP「SEVEN DAYS」をリリースするなど、精力的な活動を続けています。
また、句潤は他にもMPCやサックス、ベース、ギターなどを使用したバンド「MEATERS」を結成しています。
句潤はそのことについて「特に楽器をやってる人と音楽のことを離すと視野が広がる」としており、HIPHOPというジャンルにとらわれないアーティストとしての活躍にも期待が高まっています。
ラッパー句潤のベストバウトは?
ラッパー句潤のpucho henza編集部の一押しバトルを紹介していきます。
・ULTIMET MC BATTLL 2013逗子予選 優勝。
・ULTIMET MC BATTLL 2015神奈川予選 優勝。
・ULTIMET MC BATTLL 2016神奈川予選 優勝
・UMB2018 THE CHOICE IS YOURS Vol.2 優勝
・ENTA DA STAGE2020 優勝
・KING OF KINGS2020(ベスト16)
①UMB2018 THE CHOICE IS YOURS Vol.2 句潤 VS 晋平太
ULTIMET MC BATTLE2010,2011を連覇した経験もあるラッパー晋平太を相手に持ち前のフローを駆使したバトルスタイルで相対した句潤。
最強の敵を目の前にして飄々とフローしながらも、時おり熱いバイブスを覗かせる句潤の魅力が最大限に詰まっています。大会を通して何度も延長戦を繰り返しながらもスタミナ切れしない晋平太も素晴らしく、大会屈指のベストバウトです。
②UMB2017 THE CHOICE IS YOURS 句潤 VS MOL53
日本トップクラスのアンダーグラウンドラッパーMOL53との戦いです。
普段からお互いのことを理解しあい、認め合っているからこそできるセッションのような雰囲気で、2人の音楽性の高さを再認識することができます。
特に句潤はDJが開始直前のスクラッチを長めに取った間を上手く使ったりするなど、即興のセンスを感じさせてくれます。
③UMB2015 GRAND CHAMPIONSHIP 句潤 VS K-razy
ULTIMET MC BATTLEを3連覇した史上最強のラッパーR-指定の後を継ぎ大阪代表となったK-razyとのフロー対決。句潤のプロップスを一気に高めたバトルでもあります。
ちなみに句潤の1バース目の頭はビートで使われている原曲のI’m A Coke Boyからのサンプリングです。
難易度の高いビートを乗りこなしながらとっさにサンプリングにも対応できる音楽センスと知識がハイレベルすぎますよね。
句潤の人気曲は?
句潤の人気曲と、pucho henza編集部の一押し曲を紹介していきます。
句潤の人気曲①「流レテ行カズ Pro. by I-DeA」
句潤のオシャレなフローに軽く効かせたオートチューンの歌声が聞き心地バツグンの人気曲です。
地元横浜の街を歩きながらラップする句潤もカッコいいので、ぜひMVも一緒に楽しんでみてください。
句潤の人気曲②「風呼ぶカモメ」
ビートメーカーGREEN ASSASSIN DOLLAR全面プロデュースによって制作された同名のアルバムの中の代表曲です。
気持ちのいい風に吹かれながらじっくりと聞きたい最高のチルソングです。
編集部おすすめ曲「DA-Dee-MiX “INCENSE” ft.句潤」
ラッパーのACEやHIDEが主催を務めるMCバトル大会「新ADRENALINE」でバトルミュージックも務めるバンドDA-Dee-MiXと句潤がタッグを組んだ1曲です。
HIPHOPだけではなくこのようなバンドミュージックにも乗りこなす句潤のアーティストとしてのレベルの高さを感じることができます。
句潤と仲のいいラッパー
その音楽性の高さを周囲からも認められている句潤は、互いをリスペクトしあうセッションのようなバトルも多く、交友関係が広いことでも知られています。
今回はそんな句潤と仲のいいラッパーを2人に絞って紹介しようと思います。
D.D.S
沖縄生まれで重厚感のある声とドープなスタイルが人気を集めるD.D.Sとはお互いの音楽性を認め合い、リスペクトを送る仲間とのことです。
句潤はワンルームに10人以上のラッパーと集まり、かけられたトラックの上で代わる代わるマイクを回していくということをずっとやっていたと語ります。
その仲間の1人がD.D.Sであり、現在でも仲の良さは変わらないようです。
PONY
山梨レぺゼンのラッパーで48時間連続フリースタイルというギネス記録を持つPONYも、D.D.Sと同じく、句潤らと同じクルーでラップを磨き続けた仲間です。
ラップスタイルも句潤と似たところが多く、2016年の戦極MCBATTLE14章×AsONEでは、句潤とPONYがチームを組み「クリティカルヒッターズ」として参戦しています。
ちなみにこの「クリティカルヒッターズ」というチーム名は同時期に行われていた人気番組「フリースタイルダンジョン」に出場した句潤とPONYがどちらとも審査員票0対5のクリティカル負けをしてしまったたことから命名されています。
気になる句潤のアレコレ
ここまでは高い音楽性と独特のフローでヘッズたちを魅了し続けてきた句潤の経歴について紹介してきました。
ここからは句潤のファッションやエピソードについてのアレコレを紹介していこうと思います。
句潤のファッション
句潤といえば、ニット帽を斜めに被り、オシャレなパーカーなどを着ているファッションスタイルを想像する人が多いのではないでしょうか。
あの帽子の被り方はカッコよくマネすることがかなり難しく、整った顔立ちの句潤ならではのスタイルですよね。
また、句潤がよく着ているパーカーやTシャツは横浜にあるWILLというブランドのもので、句潤のファッションを全面バックアップしています。
句潤のスタイルに憧れて同じ服を購入するヘッズたちも多い様子で、ラッパーだけでなくモデルとしても活躍しているといえそうですよね。
名前をよく間違えられる
句潤はMCネームを間違えられることが多いようです。
よくある間違いは「句」ではなく「旬」という文字が使われるというもので、一般のヘッズだけでなく、時には大会運営にも間違えられてしまうこともあります。
UMB2017 THE CHOICE IS YOURS初戦のBASE戦ではそんな名前間違いを犯した大会運営に対し”まずは運営にFACK YOU 旬潤じゃなくみんな知ってる句潤”とバトル中に苦言を呈すシーンもありました。
句潤のこれからの野望とは?
バツグンの音楽センスと心地の良いフローを武器に、ヘッズ達だけでなくラッパーたちからの評価も高い句潤。
ライブや音源の制作に力をいれながら、バトルの現場でも活躍をし続ける句潤は今、どのような目標を持ち活動を続けているのでしょうか。
本人の語った言葉から、今後の野望に関してひも解いていきましょう。
死ぬまでラッパーをやっていたい
句潤は以前にインタビューで”ラッパーは死ぬまでやっていたい”と語っています。
また、リリックの書き方を聞かれた際にも”落ち込まないタイプだからネガティブなことは書かない”とも語っており、今後もポジティブなリリックの曲を数多く制作してくれることが期待できます。
世界で活躍したい
自身3枚目のソロアルバム「風呼ぶカモメ」の発売時、句潤は”音楽をやっている以上、世界で活躍したいという思いもある”と語っており、将来的な海外進出を夢としているようです。
また同時に”まずは日本から、そして横浜から自分の名前を広めていきたい”と語っており、その気持ちを”羽ばたくカモメに重ねています”と話していました。
このような句潤の思いを知ることで「風呼ぶカモメ」の聞き方も少し変わってきそうですよね。
ラッパー句潤まとめ
「句潤は音源が売れないという困難を、バツグンの音楽センスを武器にバトルで名前を売ることで乗り越えた。」
バツグンの音楽性と独特のフローで観客を魅了する句潤は、そのセンスの高さから順風満帆なラッパー人生を歩んで来たと思われがちですが、その道は決して簡単なものではありませんでした。
1年間で100以上の曲を作っていたという句潤も、その曲を広めるためにバトルに出るなど、いくつも試行錯誤を繰り返して来たのです。
しかし結果的に独特のフローやリズムの取り方が現場のヘッズに刺さり、句潤は数々のMCバトル大会の優勝や、確かなプロップスを勝ち取ることになります。
現在でもその音楽性を武器に多くの曲を制作する句潤。
その活躍はHIPHOPの枠組みを超え、もはやアーティストと称しても良い境地に達しています。
世界進出も目指しているというラッパー句潤の活躍から、今後も目が離せませんね。