KING OF KINGS 2019やUMB2017 THE CHOICE IS YOURSなど、最大規模のMCバトルで活躍を続け、バトル好きのヘッズで知らない人はいないであろうラッパーMOL53(もえるごみ)。
常にアンダーグラウンドに身を置き続け、近年のMCバトルブームや、テレビ等のメディアで扱われてPOPS寄りになっていくHIPHOPシーンに対して批判的な姿勢を崩さないMOL53は、一部からダークヒーロー的な扱いをされてきたラッパーでもあります。
最近では2022年11月に行われた凱旋MC battle2022 秋ノ陣や2023年4月に行われた凱旋MC battle THE GIANT KILLING で対戦相手のRunLineを煽り続ける姿がSNSで炎上。
このような言動から、ヒール的な扱いをされることも多い一方、アングラカルチャーとしてのHIPHOPが好きというヘッズたちからは絶大的な人気を誇るのがMOL53です。
現役最強格のMCとしても知られるMOL53ですが、実はその活躍の裏側に様々な苦悩や葛藤があったことを皆さんはご存じでしょうか。
彼のラップに込められた思いや、経歴を紐解くことでヒップホップをもっと楽しめること間違いありません。
それでは早速 Check it out!
「MOL53は〇〇という困難を、△△で乗り越えた。」
ラッパーMOL53(RAWAXXX)のプロフィール
アーティスト名 | MOL53(RAWAXXX) |
本名 | 非公表 |
年齢 | 34歳(1990年9月4日 生まれ) |
身長 | 170㎝ |
出身地 | 宮崎県日南市 |
拠点(レペゼン) | 宮崎 |
学歴 | 非公表(中卒) |
所属レーベル | blas works |
MOL53は1990年に宮崎県日南市で生まれました。
以後、長年に渡り宮崎の黒くて濃厚なHIPHOPスタイルを発信し続け、今では宮崎を代表するラッパーの1人として認識されています。
2019年ごろからはラッパーとしての活動の拠点を大阪に移し、活躍を続けています。
MOL53のラップスタイル
MOL53は何といってもアングラ感満載の黒くて濃厚なラップスタイルが魅力のラッパーです。
綺麗ごとで取り繕うようなラップとは正反対のスタンスを保ち、バトルでも常にリアルを語りつづけるスタイルを貫き通しています。
時に相手のスタイルを厳しく批判するようなラップをすることも多いのが特徴ですが、価値観の合うラッパーとバトルをする時はお互いを認め合うセッションのようなスタイルのラップをすることもできます。
生活の中心をHIPHOPに置き、日々の思想をリリカルに表現できる語彙力と、自分を偽らない素直なスタイルがMOL53のラップスタイルです。
MOL53の名前の由来
MOL53の名前の由来に関しては明らかにされていません。
ぱっと見では何と読むのかわからない名前ですが、MOL53は「もえるごみ」という読み方をします。
一方MOL53は何度か改名を繰り返しており、2018年頃からはRAWAXXX(ローワックス)名義で活動をおこなっていました。ちなみにこのRAWAXXXという名前は英語で「生」を意味するRAWと、スラングで「クソ」を意味するWAXを掛け合わせて作った名前で「生グソ」を意味します。
このRAWAXXXという名前は以前からも使っており、活動の初期ごろからMOL53 a.k.a RAWAXXXという名前でイベントに参加することはあったそうです。
また、戦極24章に出場した2021年からは名前を鬼ピュアワンラインとしており、ラッパーとしては珍しい2度目の改名もおこなっています。さらに2022年に行われたBATTLE SUMMITへ出場する際からは、名前を再びMOL53に戻して活動をおこなっています。
フリーターから始まるRAWAXXXの人生
宮崎県日南市に生まれる。
14歳の夏に友達の兄が聞いていたミックステープを聞き、HIPHOPに興味を持つ。
ラップに興味を持つとすぐにリリックを書き始める。
中学卒業後、高校には通わずフリーター生活を送る。
16歳のころ初めてMCバトルの大会に出場。
数々のラップバトル大会に出場し、優勝をかざる。
宮崎県日南市に生まれる
MOL53は1990年9月4日に宮崎県日南市に生まれました。
日南市は風光明媚な日南海岸国定公園もあるほど自然豊かな街でありながら、「小京都」と呼ばれる程の歴史ある街並みも残存する、観光産業が盛んな街です。
14歳の時でラッパーに興味を持つ
MOL53がラッパーに興味を持ち始めたのは14歳の夏頃からだそうです。
当時、友達の兄が聞いていたMIXテープを一緒に聞き「かっこいい」と思ったのがきっかけであるとインタビューで語っています。
HIPHOPを好きになってからはすぐにリリックを書き始めたそうです。
中学卒業後ラッパーとしての活動を始める
MOL53は中学を卒業後、高校へは通わずフリーターになる一方、ラッパーとしての活動を本格化させていきます。
当時の仲間たちとすぐにクルーを組み、イベントを開催したりライブをおこなったりなど、当初からかなり精力的に活動をしています。
ULTIMET MC BATTLLE 2012で大きなインパクトを残す
MOL53の名前が全国に知られるきっかけになったのが2012年末に行われたULTIMET MC BATTLE 2012 本選です。
当時22歳で完全に無名だったMOL53ですが、千葉を代表するラッパーとして頭角を表しつつあった輪入道や前年度同大会を準優勝しているNAIKA MCなどの並みいる強敵をなぎ倒し、決勝進出を果たします。
決勝戦では3度目の正直でUMB初制覇を狙う若き日のR-指定に惜しくも敗れ去ってしまいますが、無名の若手ラッパーMOL53が全国のヘッズに与えた衝撃は凄まじく、以後出場する大規模なMCバトルの大会においても優勝候補の一角としてみなされるようになっていきます。
大規模MCバトルに出場を続ける
全国のヘッズに大きなインパクトを残した2012年以降、MOL53は数々のMCバトルに出場し、その地位を確固たるものにしていきます。
まずは翌年に行われたULTIMET MC BATTLE2013でベスト4に残る活躍をします。この大会の宮崎予選では決勝戦で同じ宮崎出身のGADOROとぶつかり、熾烈なディスの応酬となったバトルの様子も大きな話題になりました。
GADOROとはこのバトルをきっかけに一時遺恨を残す事態にもなります。
同じ宮崎を代表するラッパーになりながらもスタイルが異なるGADOROとMOL53の舌戦は戦極15章の決勝戦や、KING OF KINGS 2017の決勝戦でも続き、日本中のヘッズたちの話題となり続けました。
RAWAXXXとして出場したKING OF KINGS 2019で優勝
ULTIMET MC BATTLE本選やKING OF KINGSなど、日本1のラッパーを決める大会で常にベスト4以上の成績を残しながらもあと1歩の所で優勝に手が届かなかったMOL53ですが、RAWAXXX名義で参加したKING OF KINGS 2019でついに悲願の優勝を果たします。
この大会では2018年の決勝で敗れた愛知出身のラッパー呂布カルマや、ULTIMET MC BATTLE 2019を制し若手最強格と目されていた青森のラッパーAuthorityなどを倒すなど、過酷なトーナメントを勝ち抜いてのものでした。
普段は攻撃的な自身のスタイルを崩さず、ヒール的な立場に立つことも多いMOL53が優勝して見せた笑顔に感慨深い物を感じたヘッズも多いのではないでしょうか。
KING OF KINGS 2019で優勝したMOL53ですが、その後もバトルには精力的に参戦し続け、日本武道館で行われた戦極第24章や、日本のMCバトル団体から選抜されたラッパーやレゲエDeejayの中から頂点を決めようと試みるBATTLE SUMMITでも準優勝するなどの活躍を続けています。
MOL53のベストバウトは?
まずはMOL53の主なバトル戦歴を紹介します。
・ULTIMET MC BATTLE2012準優勝
・ULTIMET MC BATTLE2013(ベスト4)
・戦極MC BATTLE 第15章 Japan Tour FINAL 準優勝
・戦極MC BATTLE 第16章 DOPE SIDE WEST 本選 優勝
・ULTIMET MC BATTLE2016(ベスト4)
・UMB2017 THE CHOICE IS YOURS 優勝
・KING OF KINGS 2017 準優勝
・KING OF KINGS 2018 準優勝
・KING OF KINGS 2019 優勝
・戦極MC BATTLE 第21.5章 Battle League SP編 優勝
・戦極MC BATTLE 第24章 日本武道館編 準優勝
・BATTLE SUMMIT 準優勝
・KING OF KINGS 2022 準優勝
ULTIMET MC BATTLEやKING OF KINGSなどの、全国No.1ラッパーを決めるための大会では出場すればBEST4以上の成績を残すなど、バトルシーンにはいなくてはならない存在のラッパーということがわかりますね。
ここからはMOL53のpucho henza編集部の一押しバトルを紹介していきます。
①ULTIMET MC BATTLE 2012 FINAL MOL53 VS R-指定
ULTIMET MC BATTLE 3年連続出場で初の優勝を狙うR-指定と、初出場でいきなり決勝戦に駒を進めたMOL53の決勝戦です。
当時MOL53は22歳、R-指定は21歳というのが驚きです。
バトルは既に貫禄の付きつつあったR-指定に対し、バイブス前回で食らいつくMOL53のハングリーさが堪らない大接戦で、MOL53が最後の音抜きに対応できていれば延長戦もあり得たというほどの名勝負です。
②UMB2017 THE CHOICE IS YOURS Vol.1 FINAL MOL53 VS CIMA
全国のヘッズたちからの人気投票によって出場MCが決められるUMBの新たな取り組み、THE CHOICE IS YOURSの初代チャンプとなった試合です。
得意の押印とバイブスで強引に突破しようとするCIMAに対し、ラッパーとしてのスタンスを提示しながら戦うMOL53のカッコよさが際立つ名バトルで、大会史上でも屈指のベストバウトと評価されています。
③KOK 2018 東日本予選 決勝 RAWAXXX VS MULUBE
KING OF KINGS 2018本選への出場をかけた東の本予選の決勝戦です。
普段はバチバチのディスを繰り返すMOL53(RAWAXXX)がMULUBEのバースにくらいながら楽しそうにラップをしているのが印象に残ります。
お互いにリスペクトを示しながらもなれ合いにはならず、リリカルなバースでかまし合う、まさにリアルなラッパ-ならではのハイレベルなバトルです。
MOL53のバトルはABEMAプレミアム14日間無料体験 で無料で見ることができちゃいます!過去のMOL53のバトル動画が気になる方はぜひご覧ください。
MOL53の人気曲は?
MOL53の人気曲と、pucho henza編集部の一押し曲を紹介していきます。
MOL53の人気曲①「KAKATO」
落ち着きのあるトラックに哀愁のあるリリックが魅力的な名曲です。
バトルでは攻撃的なラップをすることの多いMOL53ですが、音源ではこんなにも優しい雰囲気を与えるのですね。
シンプルな曲だからこそ際立つMOL53のラップスキルの高さを感じることのできる曲でもあります。
MOL53の人気曲②「時雨の記 feat.呂布カルマ,MOL53,鬼,HIDADDY/平石佳啓」
どこか寂しい雰囲気のあるトラックに、情景が浮かんでくるようなMOL53のラップが美しい1曲です。
MOL53以外のラッパーたちのバースも聞き心地バツグンなので、HIPHOP好きの人たちはぜひ1度チェックしてみてください。
編集部おすすめ曲「220」
ポジティブとはいえない自身の経験をありのまま綴ったリアルなリリックが心に沁みる1曲です。
日本人ならではの詫びさびを感じさせるラップにMOL53の真骨頂を感じさせてくれます。綺麗な海をバックにラップするMOL53の姿に、哀愁を感じながらもなぜか前向きな気持ちになれる名曲です。
MOL53と仲のいいラッパー
孤高の存在として1匹狼の印象も強いMOL53ですが、常にHIPHOPの現場に身を置いていることもあり、仲間の多いラッパーとしても知られています。
今回はそんなMOL53と仲の良いラッパーを2人紹介します。
SILENT KILLA JOINT
兵庫県淡路島をレぺゼンし、ULTIMET MC BATTLE 2022に優勝したSILENT KILLA JOINTはMOL53と仲の良いラッパーとして知られています。
2020年の凱旋MC battleの3on3大会からはCIMAと共に「伝説建設」としてチームでバトルに参加。
SILENT KILLA JOINTのYouTubeチャンネルではMOL53とショップアイテムを紹介する動画も上がっており、貴重なオフのMOL53の姿も見ることができます。
CIMA
兵庫県西宮市出身でSILENT KILLA JOINTと同じく「伝説建設」の一員であるCIMAもMOL53と仲の良いラッパーです。
互いに関西を拠点としており、実力者であるが故にバトルでぶつかることも多々ありますが、楽屋では遺恨無しに楽しく過ごしているようです。
気になるMOL53のアレコレ
ここまでは常にHIPHOPの最前線に身を置き続け、2012年以降常に第一線で活躍し続けるラッパーMOL53について、その経歴を中心に紹介してきました。
ここからはMOL53のファッションや最近の炎上についてなどのアレコレを紹介していきます。
MOL53のファッション
THX Yokohama@cool_045 @bridgeyokohama
— MOL53 / RAWAX (@MOL53info) April 10, 2023
MOL & @kenbou87
🚀🚀🚀 pic.twitter.com/DXe9aUxk2N
B-boyである以上、ラップの上手さだけでなく、見た目にもこだわらなければいけないというスタンスのMOL53は、ショップの店長を務めたこともある程のファッション好きとして知られています。
バトルに登場する際もトレーナーやパーカーに様々な帽子を合わせたスタイルのことが多く、そのこだわりを感じさせてくれます。
MOL53は大き目サイズの服を着用していることが多く、ファットでいわゆるオールドなスタイルのファッションを好んでいる様子が伺えます。
バトルをきっかけとする様々な炎上
MOL53はいわゆる「流行り」に乗ったラッパーや、価値観の異なるラッパーをバトルで堂々とディスる事がある為、たびたびSNSで炎上してしまうことがあります。
以前には大阪で開催されるMCバトル、SPOTLIGHTの決勝戦で確証の取れないプライベートの話を持ち出した呂布カルマと楽屋裏で揉める姿も公開されたりしています。
最近でも凱旋MCbattleでディスを繰り返したラッパーRunLineと再戦し、徹底的なディスで勝利した際にも”お前もうラップやめろ”と吐き捨てながら退場するなどし、一部のヘッズからその言動を問題視されるなどもしています。
ことの発端となった凱旋MCbattle2022年秋ノ陣の後には、伝説建設のステージ上での振る舞いについて”バトル観てこんなにこんなに悲しい気持ちになったのはじめて”とツイートした元AKB48のラッパー立仙愛理に対しても”立仙なんちゃらって元AKBだか何だか知らんけど”や”頭お花畑なのかてげめでてぇやつ”と反論するなど、多くの賛否を集める言動を繰り返しています。
ただ、このような言動は批判の声を多く集める一方、HIPHOPのスタイルとして間違ってはいないという声も数多く寄せられており、昔からのスタイルを色濃く残すMOL53のスタイルに魅力を感じるというヘッズも少なくありません。
MOL53はツイッターやインスタをしている?
MOL53はツイッター、インスタグラムのアカウントを公開しており、イベントへの出演情報や、自身が関わるファッションアイテムの発売報告などをSNS上でおこなっています。
気になる方はぜひフォローして最新の情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。
MOL53のこれからの野望とは?
ULTIMET MC BATTLEやKING OF KINGSなど、数多くの大規模MCバトル大会で活躍を続け、日本のHIPHOPシーンに無くてならない存在に上り詰めたMOL53。
KING OF KINGSという華々しいタイトルを獲得した今、彼が狙う野望とはどのようなものなのでしょうか。
本人の語った言葉から、今後の野望についてひも解いていきましょう。
本物のHIPHOPを貫き続けたい
MOL53のラップスタイルとして一貫しているのが「本物のHIPHOPを貫くこと」です。
MOL53はインタビューで「地元で先輩たちがやって来たように、金にしようと思っていない、好きでやっている音楽を継承したい」と語っています。
その辺りの思想が、メディアのコンテンツとして大衆向けに売り出されるHIPHOPカルチャーへの批判や否定に繋がっているのですね。
後輩の育成もおこなっていきたい
孤高の存在というイメージが強いMOL53ですが、仲の良いラッパー兼DJのMADJAGと共にPLANET RADIOというスタジオを立ち上げ、後輩たちの育成もおこなっています。
PLANET RADIOのスタジオは貸出もおこなっており、後輩の育成にも熱心なMOL53ですが”初心者は来ないで欲しいですね、疲れるんで”と語るなど、HIPHOPに対して見せる厳しい姿に代わりは無いようです。
ラッパーMOL53まとめ
「MOL53は音楽以外何も無かったという困難を、持ち前のハングリーさで乗り越えた。」
MOL53は2012年のULTIMET MC BATTLEの登場以降、10年以上に渡り日本のHIPHOPシーンの最前線で戦い続けてきたラッパーです。
時には他のラッパーと揉めたり、SNSで炎上してしまうこともあるMOL53ですが、アンダーグランドのHIPHOPに対するスタンスは一貫しており、根強いファンが多いのも事実です。
バトルでも「観客に目線を合わせるMC」について批判をしつつ「観客の目線をあげさせて自分のレベルに合わせさせる」などの表現を使うことが多く、HIPHOPに対するこだわりは他のラッパーの追随を許しません。
KING OF KINGS2019の決勝戦では”HIPHOPと勘違いされがちなFreedomなんてハナからねえのさ”というパンチラインを残すなど、バトルリリックからMOL53のスタンスを読み解くことのできるバースは数多く存在します。
HIPHOPの初心者が理解するには難易度の高いラッパーであることには間違いありませんが、MOL53のスタンスを読み解いていくことはHIPHOPに対する理解を深めることと直結します。
みなさんもぜひMOL53のラップを楽しみながら、MOL53のさらなる活躍を期待しましょう。