TikTokで楽曲「snow jam」がバズり、若者を中心とした人気が高まった福岡出身の実力派ラッパーRin音(りんね)。
今でこそMCバトルと楽曲のどちらでも高い支持を集める人気ラッパーになったRin音ですが、彗星のごとく日本語HIPHOPシーンに現れたこともあり、その素顔を詳しく知る人は少ないのではないでしょうか。
今回はそんな期待の新世代ラッパーRin音に関して、その生い立ちやおススメ楽曲などを詳しく紹介していこうと思います。
日本語HIPHOPシーンの未来を担うであろうRin音のことを知ることで、今後よりHIPHOPを楽しめることは間違いありません。それでは早速Check it out!
「Rin音は◯◯という過去を、△△で乗り越えた。」
Rin音のプロフィール
アーティスト名 | Rin音 |
本名 | 非公開 |
年齢 | 25歳(1998年9月16日 生まれ) |
身長 | 不明 |
出身地 | 福岡県宗像市 |
拠点(レペゼン) | 福岡 |
学歴 | 福岡工業大学卒業 |
所属レーベル | Virgin Music |
Rin音は福岡県の北東に位置する海沿いの街、宗像市に生まれました。
ちなみにRin音の読み方は「りんね」で、本名については非公開となっています。
2019年には自身のTwitter(現X)で「俺の本名 版知 線(ぱんち らいん)やからと投稿したことがありますが、これはインスタライブでふざけて考案した名前であり、もちろん本名ではありません。
自身の性格については「すぐ疲れる、めんどくさがりでだらしない」と評しており、音楽に対して真剣に向き合う姿とは真逆に、プライベートではマイペースな性格のようです。
Rin音のラップスタイル
柔らかくゆったりとしたトラックに優しい歌声のラップを乗せ、しっとりと聞き入ってしまうような心地よい楽曲が多いのがRin音の特徴です。
このRin音のラップスタイルは「CHILL OUT系メロウラップ」と呼ばれ、多くの若者の共感を呼ぶリリックも非常に高く評価されています。
一方、MCバトルに出場した際は力強く相手に迫るようなバイブス満タンのラップを披露することもあり、音源とは真逆の熱いスタイルを見せてくれます。
もちろん熱さだけでなくフローも得意としており、音楽センスの高さを感じさせてくれるRin音。この、何でもできる引き出しの多さがラッパーとしてのレベルの高さを物語っています。
Rin音の名前の由来
Rin音は自身の名前の由来について話す際「Rin音というMCネームは『R』『in』『音』の3つのワードを組み合わせて考案したものだ」と表現しています。
Rは自身の本名のイニシャルだそうで、inと音は繋げて「音の中」という意味。
つまり「R(自分自身)は音の中にいる」という意味を込めてRin音というMCネームを考案したそうです。
Rin音自身「音の空間にいる時は自分はこの名前」と語っており、この発言から音楽に対するこだわりの強さを感じることができます。
MC正社員の誘いから始まるRin音の人生
・福岡県宗像市に生まれる
・RIP SLYMEをきっかけにHIPHOPに興味を持つようになる
・地元の中学校に進学し、ごく普通の学生生活を過ごす
・YouTubeで見たMCバトルに魅力を感じ、ラッパーを志す
・18歳ごろからラッパーとして活動を開始
・福岡工業大学に進学
・2018年、天神 U-20 MC BATTLEに出場し優勝
・2018年ごろからMC正社員に誘われ楽曲制作に力を入れ始める
・大学在学中の2019年に配信限定EP「film drip」を発表しデビュー
・2020年、配信リリースされた楽曲「snow jam」がSpotify国内チャートで1位を記録
・大ヒットした楽曲「snow jam」を人気TV番組であるミュージックステーションで披露
・1stアルバム「swipe sheep」を発表
・2021年地元である宗像市から「むなかた応援大使」に任命される
福岡県宗像市に生まれる
Rin音は1998年に福岡県宗像市に生まれました。
家族構成や兄弟に関してはあまり語られていません。
しかし、2020年12月にクリスマスをテーマにした楽曲「gift socks」のリリースを記念するインタビューに答えた際には「最近一人暮らしを始めて、そんな中で浮かんできた家族への思いを込めましたね。(中略)一人暮らしをして、家の中のことを全て自分一人でやってみると本当に大変で。それで振り返ったら、毎日こんなに忙しいのに、クリスマスになると子供たちの『サンタへの願いごと』を叶えるために、さらに色々動いてくれていたんだよなあって」と語っており、幼少期からの家庭環境の良さを感じさせてくれています。
また、Rin音は小学生くらいの頃から父親の影響でヒップホップグループ「RIP SLYME」やロックバンド「BUMP OF CHICKEN」等の楽曲を聴かされて育ったと語っています。
特にRIP SLYMEの楽曲や歌詞には感動することも多かったそうで、現在の自分の音楽に大きな影響を与えていると明かしています。
高校生時代にHIPHOPに出会い、ラッパーになりたいと思うようになる
小学校、中学校と特に音楽活動をしてこなかったRin音がラッパーを目指すことになったのは高校1. 2年生の頃のことだそうで、きっかけは動画配信サイトで見たUMB2010の晋平太vsR-指定のMCバトルだったそうです。
初めてMCバトルを見たRin音は即興で作ったラップで相手とバトルというスタイルに魅力を感じ、いつしか「自分もラップに挑戦してみたい」と思うようになったと言います。
友人にHIPHOP好きな人がおらず、なかなか実践的な活動はできずにいたというRin音ですが、高校3年生の頃になると地道なHIPHOPの布教活動が功を奏し、友達たちとサイファーのように集まってラップをする環境ができたそうです。
MCバトルに出始めるようになる
人気のMCバトル番組「フリースタイルダンジョン」は番組開始当初からずっと見るほどMCバトルが好きだったと語るRin音。
特に好きだったラッパーは、高校生ラップ選手権でその才能を知らしめたT-Pablowだそうです。
他にもMCバトル動画を見る中で大阪レペゼンのラッパーK-razyのライミングやUMB2008の王者でもある鎮座DOPENESSのフローを参考に自分のラップを組み立てていったと語るRin音は2017年に福岡で開催された戦極MC BATTLEにエントリー。
残念ながらその時は1回戦負けだったそうですが、続いて挑戦した天神 U20MCバトルではベスト8に勝ち残る活躍を見せます。
さらに2018年に2度目の挑戦をした天神 U20MCバトルでは優勝を果たし、その数日後にあったKMB(小倉MCバトル)でも準優勝に輝くなどMCバトルで徐々に頭角を現し始めるようになったというRin音。
Rin音自身、バトルで勝つことによってMCバトルの楽しさを再認識できるようになったようで、それからも様々な大会やイベントのバトルに出るようになったと語っています。
MC正社員から誘われ楽曲制作をスタート
そこまでのキャリアの中でバトルしかしてこなかったRin音が楽曲制作をするようになったきっかけは戦極MCBATTLEの主催であるMC正社員からの「バトルイベント内のライブショーケースに出ないか」というオファーだったそうです。
当時は曲作りの経験が無く、1度は断ろうかと思ったそうですが「曲がないからってライブを断ってバトルにだけ出ると、絶対「曲もないくせに」ってディスられる」と考え直し楽曲制作をスタート。
この時に初めてリリックを書いたとインタビューで語っています。
初めて書いたリリックも現在と変わらず「恋愛みが深い感じ」と表現するRin音。
他のラッパーに感化され尖った内容のリリックにも挑戦してみたそうですが、結局内容も声もフローも全くハマらず「あ、この方向はダメだ」とすぐに諦めたそうです。
Rin音がライブ活動を始めた当時の福岡のHIPHOPシーンはブーンバップなどの強面なHIPHOPが主流だったそうで、Rin音の楽曲は「わりと浮いてしまうことが多かった」そう。
しかしシーンの主流がブーンバップからトラップに変わっていく過程で様々なスタイルが認められ始め、バトルで結果を残していたRin音のスタイルを「いい」と認めてくれる人もだんだんと増えていきます。
特に福岡でイベントを開催しながら若手ラッパーのフックアップに熱心だったという先輩ラッパーRYOTAの存在は大きかったそうで、Rin音はだんだんとライブの為にクラブやライブハウスに呼ばれることが増えていきます。
楽曲「snow jam」が大ヒットを記録
福岡のシーンを中心としながら徐々に楽曲の人気が高まっていったRin音は、大学在学中の2019年に配信限定のEP「film drip」を発表し、ラッパーとして正式にデビューを果たします。
その後2020年に配信リリースされたのが後にRin音の代表曲となる「snow jam」です。
snow jamはTikTokで使用されたことがきっかけで、若者世代の大きな話題となりました。
その結果Spotify国内バイラルチャート1位、 Apple Music総合チャートの9位にまで上昇するなど、各チャートでも軒並みランクイン。
ラッパーRin音の名前を一気に全国に押し上げる1曲となりました。
ちなみにRin音はsnow jamという楽曲名について「なんとなく語感が可愛らしいし、「traffic jam」(交通渋滞)じゃないですけど、雪がどんどん積もっていく感じと、自分の思いが積もっていく感じをうまく表しているんじゃないかな」と表現しています。
Rin音は代表曲となったsnow jamを武器に地上波の大人気番組「ミュージックステーション」やYouTubeの人気企画「THE FIRST TAKE」にも出演。
2020年6月には念願だったという1stアルバムの「swipe sheep」を発表するなど精力的な活動を展開しました。
その後2021年には地元である福岡県宗像市から「むなかた応援大使」に任命されるなどしており、現在も福岡を代表するラッパーとして全国に羽ばたいています。
Rin音の人気曲は?
Rin音の人気曲と、pucho henza編集部の一押し曲を紹介していきます。
Rin音の人気曲①「snow jam」
言わずと知れたRin音の代表曲でYouTubeの再生回数も4000万回を超える大ヒット曲です。
TikTokではダンス動画の際に多く使われるなど若者の支持を集めまくり、ラッパーRin音の名前を全国に押し上げるきっかけとなる1曲となりました。
Rin音の人気曲②「earth meal feat.asmi」
1stアルバム「swipe sheep」の収録曲で、19歳のシンガーソングライターasamiを客演に迎えた最高のCHILLソングです。
Rin音とasamiの優しい歌声が奏でるハーモニーが聞き心地バツグンな人気曲です。
Rin音の人気曲③「夜明乃唄」
Ankerのオーディオブランド「Soundcore」のコラボキャンペーン#夏の願い2020 のために書き下ろされた1曲で、Rin音ファンからの支持も高い人気曲です。
「夜明乃唄 思いを抱き寄せて 言葉にした 錨が上がるの」という美しい物語を想像させるような詩的なリリックに胸が暖かくなります。
編集部おすすめ曲「Summer Film’s feat. クボタカイ, 空音」
Rin音と仲の良いラッパーであるクボタカイと空音を客演に迎えたエモさ溢れる1曲です。
懐かしい青春の1ページを思い出させてくれるようなMVも最高なので、ぜひ曲と合わせてMVも見て欲しい1曲です。
Rin音と仲のいいラッパー
人当たりが良く、優しい性格だというRin音は、楽曲の中で多くのアーティストと共演を果たしており、交友関係の広いラッパーとしても知られています。
今回はその中でも特にRin音と仲が良いとされるラッパーと2人に絞って紹介していこうと思います。
クボタカイ
Rin音と同じく福岡を拠点として活動する同世代ラッパーのクボタカイは、Rin音と仲が良いラッパーとして知られています。
まだ有名になる前から交友が深かったというRin音とクボタカイですが、どちらもゴリゴリのHIPHOPを志しているわけでは無く、福岡では異質ともいえる音楽性に共感しあったそうです。
そんなRin音とクボタカイは凱旋MC battle 2022秋ノ陣 3on3で、大阪レペゼンのラッパーTERUを加え「ともだちズ」として参戦。
人気格闘技番組のブレイキングダウンでも話題を読んでいるSATORUや宮城レペゼンでUMBの優勝経験もあるMU-TON相手にバトルを展開しました。
空音
兵庫県尼崎市出身でRin音よりも2学年上のラッパー空音は、Rin音と仲が良いことで知られています。
Rin音と空音というどこか似たMCネームの2人ですが、兄弟や同級生というわけでもなく、たまたま似たようなMCネームを使っているというのが真相のようです。
しかし、空音もRin音と同じく「チル系」と表現される楽曲を多く制作しており、音楽に関しても似た感性を持っている様子。
YouTubeで公開されている対談動画ではお互いのリスペクトや仲の良さを感じさせてくれています。
気になるRin音のアレコレ
ここまでは若者世代を中心に絶大な人気を誇るラッパーRin音に関して、その生い立ちやおススメ曲を紹介してきました。
ここからはさらに、Rin音のファッションや曲の作り方などネットで話題になっているアレコレに関してさらに深掘りした情報を紹介していきます。
Rin音のファッション
イマドキの若者らしくファッションが好きでこだわりが強いというRin音は「デザイン性の高いアイテムだったり、色モノも好きです」と語っており、シンプルな服装というよりは派手目な服装を好んでいるようです。
私服で赤色のパンツを履くこともあり、髪色と相まって街ではかなり目立っているという自覚もあるというRin音。
好きなブランドは「NEPENTHES」や「NEEDLES」だそうで、街に出た時はお気に入りのブランドショップにフラっと立ち寄ることも多いと語っています。
Rin音はいつもどのように曲作りをしているのか
自身が楽曲制作をする際にはまず最初にメロディやフローを考えるというRin音。
大まかなメロディを考えた後にフリースタイルをすると、ふと飛び出た言葉が面白かったりすると語るRin音は、自身のフリースタイルで紡いだ言葉を少しづつ変化させながら作詞をおこなっているそうです。
そんなRin音は作詞の際に大事にしていることについて「あまり否定したり、自分が言われて嫌なことは書きません」と答えています。
Rin音の人柄をよく表している考え方ですよね。
Rin音のMCバトル
楽曲では優しい歌声を武器に恋愛をテーマにした「チルい」ラップを手がけることが多いRin音。
しかしひとたびMCバトルのステージに立ったRin音はそのキャラクターを一変させ、バイブス満タンで相手に詰め寄るような熱いバトルを見せてくれるラッパーになります。
戦極MCバトルで岐阜の重鎮ラッパー梵頭と対戦した際には、バトル開始早々に熱いバイブスの乗ったラップを披露。
自身のHIPHOPや地元に対する思いをスピットし、バチバチのバトルを披露してくれました。
このように楽曲とバトルで別々の魅力を見せてくれるRin音のスタイルに、ラッパーとしての引き出しの多さを感じざるを得ません。
Rin音のこれからの野望とは?
代表曲「snow jam」を大バズりさせ、若者世代を中心とする人気を一気に集めることに成功したラッパーRin音。
HIPHOPの世界ですでに大きな成功を手にしたように見えるRin音ですが、彼は今後どのような目標や野望を持ち、ラッパーとしての活動を続けていこうと考えているのでしょうか。
最後にRin音本人の語った言葉から、今後の野望について紹介していきます。
“人をダメにするソファ”のような音楽を作りたい
自身のことを「気が重くなるような映画よりも、心軽やかになるような映画が観たいタイプ」と語るRin音。
自身の制作する音楽に対しても「自分の音楽もそういう、安心感が得られるものとして聴いてほしいです。(中略)“人をダメにするソファ”ってあるじゃないですか。ああいう感じの音楽になればいいなって」と語っており、常に聞き手がポジティブな気持ちになることのできる音楽を作り続けたいという思いが強いようです。
常に新鮮なことをやっていたい
聞き手に「安心感を持って自分の楽曲を楽しんで欲しい」と願うRin音は、自身の活動についても「やっていて楽しいなと思える活動を目指したいので、常に新鮮なことをしたい」と語っています。
これは音楽に限らず、趣味だという料理やゲームの分野でも同じだそうで、自身のYouTubeのサブチャンネルでは、ゲーム配信や料理をする様子を投稿したりもしています。
普段はラッパーとして忙しいRin音が活動の合間をぬって撮影するため、投稿頻度は高く無いようですが、Rin音の素の表情を見ることができる面白い動画が投稿されています。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
ラッパーRin音まとめ
「Rin音はバトルだけで楽曲制作をしなかったという過去を、MC正社員からの誘いと、若者の共感を生む等身大のリリックセンスで乗り越えた。」
活動開始当時は、MCバトルの魅力に魅せられ、楽曲制作をせずバトルに明け暮れていたという福岡出身のラッパーRin音。
そんなRin音がラッパーとして羽ばたくきっかけになったのは、戦極MCバトルの主催、MC正社員からのライブオファーでした。
当時楽曲が1つも無く、ライブオファーを受けるか迷ったというRin音ですが、既存のHIPHOPの枠にとらわれない「恋愛みの深いチルソング」は徐々に若者たちの心を惹きつけていくことになります。
2020年には代表曲になるsnow jamを発表し、まさに時の人となったラッパーRin音。
“人をダメにするソファ”のような音楽を作りたいという野望の元、若者の心に寄り添った楽曲制作を続けようとするRin音の活動からは、今後も目が離せそうにありません。